墜落事故に思う事

2017年6月2日 16:43 comment(0) [高所作業]


みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
段々暑くなり、熱中症に気を配りながら作業する季節になりました。

水分、塩分、そして睡眠をしっかりと取って下さいね。

何事も、「健康が一番」です。


さて、先月末にまたまた墜落事故が発生いたしました。
その概要と、弊社の思うところを記載します。
(少し長くなります)

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現場状況
関東圏、7階建(高さ:約20m)
屋上端部(1m以下)通信設備の交換、点検作業、
胴ベルト型安全帯未装着(現場には持参)
作業責任者、作業員の2名での作業

被災状況
男性1名:30才代後半
2017年5月下旬 午前11:00頃、ビル屋上より墜落。
隣接ビル(4階建)との隙間に挟まりながら墜落したものと推測。
骨折(頭蓋、顎、腿、腰)、肺挫傷、顔面損傷、

再度徹底事項として
1)ビルでの危険な区画定義を再確認。
2)危険な高所では「無胴綱状態」にならない。
3)作業の前と後での安全品質の確認
・作業前ミーティング時に「事故の重大性」を十分認識して従事すること。
・人は「近道行動」を行いがちで、楽をする、ルールを守らないなどミスを起こしやすい。
・高所作業でのミスは致命的であり、自身のみならず家族までも不幸を招く結果となる。
との通達。

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一命は取り留めた様子ですが、非常に痛ましい限りです。
被災された方の回復と、社会復帰を願うばかりです。


では、このような事故はどうしたら防げるかを、今回の事故当事者に限らず全ての高所作業に携わる発注者、事業者、労働者を念頭に入れて考えてみることにします。

弊社の視点で捉えて記載しますので、賛否両論あると思います。
ただ、「二度と事故が起きないため」の一心からの視点ですので、これよりもっと良いお話がございましたら逆に御教授頂けると嬉しいです。

まず、従事者(被災者)です。
労働安全衛生法(以下、安衛法)第4条
労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。

労働安全衛生規則(以下、安衛則)第520条
労働者は、第518条第2項及び第519条第2項の場合において、安全帯等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

とあります。

このような作業環境で作業を行えるスキルを有していたのでしょうか?
恐らく、高所作業は危険だし、ヘルメットや安全帯は必要だとの認識はあったのでしょう。
安全作業のルールも「元請」さんからの教育として受けていたでしょう。
ルールに従って作業前のミーティングも行いその取り決めに従って「注意」しながら作業を行っていたでしょう。
それでも墜落事故が発生しました。

それから、同行者さんです。
何故、注意しなかったのでしょうか?
もしも注意していたとすると、何故、それを聞き入れてもらえなかったのでしょうか?
同行者がいても、墜落事故は防げないと云うことになります。
(同行者の情報が有りません。被災者が責任者なのか作業者なのかも不明です)

次に事業者さんです。
元請さんから被災された方の勤め先までが該当します。

安衛法 第24条
事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

安衛法 第59条
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2)前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3)事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

安衛則 第518条
事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
2)事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

安衛則 第519条
事業者は、高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。
2)事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

安衛則 第521条
事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行なう場合において、労働者に安全帯等を使用させるときは、安全帯等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。
2)事業者は、労働者に安全帯等を使用させるときは、安全帯等及びその取付け設備等の異常の有無について、随時点検しなければならない。

とあります。

法解釈を上から当てはめると、
労働災害を防止するため必要な措置として、何を実施されたのでしょう?
そもそも、転落するような環境での作業である認識があったのでしょうか?
認識が無い訳はあり得ないので、有ったとすると教育したのでしょうか?
安全帯を持参していたので「渡し」てはいますが、「使用させる」ためにどんな措置をしたのでしょうか?
また、安全帯を取り付ける設備は事業者によって設置、点検を行わなければなりませんが、それ自体が実在しているのでしょうか?

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法律の部分はほぼ原文のままですので長くなりましたが、要するに労働者に対する安全のための措置を何も実施していないと言うことです。

事業者だけでなく、墜落した本人も。

厳しいことを書きますが、大手の企業であればある程、「的外れ」な対策を実際の従事者に強いています。

いつまで経っても、事故を起こしています。

特に「安全担当者」と呼ばれる多くの「偉い方」は、実際の現場を見ていません。やっていません。
(見てはいますが、観察と云うか考えながら視ていないと云うか。。。)
実際、やってみなきゃ解んないですよね。


私は講習の中で、こんな事をみなさんに伝えています。
「百聞は一見にしかず。」その先に「千見は一技にかなわず」と。
造語ですが解りますよね。


今回の事故後の通達文を見ても
「再確認」「認識」「無胴綱の禁止」「再徹底」などと謳われていますが、
具体的に「こんな対策」を「このようにして実施しよう」。
実施方法は「これ」を使用して「このように実行」すれば墜落しないよ。
と示されていませんよね。

はっきり言って「愚の骨頂」です。


ムッと来た方、それは「図星」だからです。
それを認めない限り不幸な事故は続きます。
なぜなら、「改めない」から。。。

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結論として、「どうすれば防げるか」です。


一番難しいところですが、はっきり書きます。

1)高所作業はプロが作業に従事すること。

まさにその通りです。
・絶対に墜落しないと言えるのがプロです。
・墜落しない「技」を持っていて、それをいつも実行しているのがプロです。
・この仕事で「飯を食ってる」のがプロです。
・事業者の不備を補えるのがプロです。

とは言え、プロは非常に少なく限られています。

ですから、しっかりと「教育」「訓練」「練習」をして「経験」させて正しい判断の出来る「プロ」を育てなければなりません。
当然、その経費も掛かるでしょう。

(墜落事故が発生した場合の費用と「教育・訓練」にかかる費用はどちらが安いでしょうか?)


2)リスクの対処に適切な費用を掛ける、払う

作業従事者は特攻隊の隊員じゃありません。
日本人は真面目ですから「この仕事」を与えられたらやるでしょう。
だから事故のリスクを過小評価して「前回大丈夫だったから今回も大丈夫。」と現場で事故を起こします。
しかし、プロなら「こんな対策で防げるよ」「こんな機材があれば落ちないよ」と正しいリスクを見積もれます。
それを誰かに「阻まれる」事があってはなりません。
現在、それがまかり通っていますがそんな時代は終わっています。


3)何があっても自己責任で高所作業に従事する。

先に挙げたものに関連しますが、現場のルールは現場で作り現場で守る事。
現場でよく「この現場では該当しない」とか「計画書に書かれていない」とかの声を耳にします。
指示が有るか無いかは関係ないと思います。
自身と仲間の命を「危険に晒さない」事は現場のプロに任せて実行させればよいのです。
現場を知らない者の指示に囚われていれば、正しい判断に基づく行動が出来ません。

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と、長くなりましたが
具体的な「墜落の防止方法」「安全な高所作業」「救助の方法」などございましたら
お気軽にお問い合わせ下さい。

宜しくお願い致します。


レストレイン(転落防止)

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